1920年イギリスのサリー州生まれ。ウェリントン・カレッジを卒業後、ロンドンの王立音楽院で作曲を学ぶが、第2次大戦勃発のため1年間だけ学んだのち、従軍し西部戦線では戦車部隊で活躍、ノルマンディー侵攻作戦に参加し、激しい戦闘を体験する。戦後は王立音楽院に再入学し、学位取得後は大学講師の資格を得、5年間室内楽や交響曲の作曲を指導する。
また、クラシックの作曲も多数手がけており、「木管六重奏曲」や「トランペットとストリングスのためのコンチェルト」などは傑作として好評である。
映画音楽のデビューは1950年、第2次大戦従軍中に知り合った監督・プロデューサーのロイ・ボウルティングのすすめで、緊迫の政治サスペンス「戦慄の七日間」を担当。以降、犯罪サスペンス「波止場の弾痕」やキャロル・リード監督のスパイ・スリラー「二つの世界の男」などのサスペンスものや、「赤いベレー」、「生き残った二人」などの戦争映画を主に担当し、映画音楽作曲家としての地歩を固めていく。
さて、1950年代後半、イギリス映画の原点への復帰を謳ったフリー・シネマ運動から「新しい波」の作家たちが登場してきたが、彼らの中で最も活発に作品を発表していたのがトニー・リチャードスンであった。
1957年、リチャードスンが演出したジョン・オズボーン作の戯曲「The Entertainer」の音楽を担当したことから、アディスンとリチャードスンとのコラボレーションが始まる。ロンドンの貧民街でどん底の生活を送る女子高生を描いた「蜜の味」(1961年)、感化院の若者が権威に反抗する姿を描いた「長距離ランナーの孤独」(1962年)とコンビ作が続き、1963年の「トム・ジョーンズの華麗な冒険」は、権威主義に反抗しつつ、恋のアヴァンチュールを繰り広げる精力旺盛な主人公の大らかな生きざまをテンポよく描いた傑作として、リチャードスンは国際的な名声を獲得した。そして、重厚なクラシック音楽の殻から抜け出たかのように、軽快で生き生きしたポップ感覚あふれる管弦楽スコアを書いたアディスンは、米アカデミー作曲賞を受賞、サントラ盤も好調な売れ行きを示し、彼の名は一躍世界的に有名になった。
リチャードスン監督とは以降も、ブラック・コメディの「ラブド・ワン」や、戦争スペクタクルの「遙かなる戦場」、ディック・フランシス原作のミステリー「大本命」と続くが、二人のコラボレーションはリチャードスンが1991年に亡くなるまで続くのである。
なお、「トム・ジョーンズ」以降のアディスンは、ヴィクトリア時代のロンドンを舞台にキム・ノヴァク扮するヒロインが幸せをつかむ物語「モール・フランダースの愛の冒険」や、巨匠バーナード・ハーマンの代役として急遽引き受けたヒッチコック作品「引き裂かれたカーテン」、ジョゼフ・L・マンキーウィッツ監督の「三人の女性への招待状」や「探偵・スルース」など、ポップスからシンフォニックまで駆使しつつ、様々な作品を担当するが、特に1977年の戦争映画「遠すぎた橋」は、自らの戦争体験を背景に「勇壮」と「悲しみ」の二つの主題を軸に創り上げたアディスン会心のスコアである。
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1965 THE AMOROUS ADVENTURES OF MOLL FLANDERS モール・フランダースの愛の冒険
「ロビンソン・クルーソー」で有名な文豪ダニエル・デフォーの代表作を元に、18世紀、イギリスの孤児院で育った娘が様々な男性との遍歴を重ねつつ、ついには幸せをつかむ物語。007シリーズのテレンス・ヤングが監督。キム・ノヴァクがヒロインを熱演し、アンジェラ・ランズベリー、ヴィットリオ・デ・シーカ、ジョージ・サンダースらが脇を固める。オスカー受賞作「トム・ジョーンズの華麗な冒険」と同じ18世紀の時代背景だが、アディスンは「トム・ジョーンズ」でのコミカルで軽快な要素を今回も取り入れながら、ヒロインの冒険物語ということで、より優しくより華やかなオーケストレーションを展開、ハープシコードやチェレスタ、マンドリン、サックスなどの楽器を駆使し、ヴァラエティに富む音作りでゴージャスな管弦楽スコアを書いている。

Great Britain LP RCA Victor RD-7732

France EP RCA Victor 86.461 M
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