
1950年代初期から2000年代までほぼ50年間に、200本以上の映画やテレビ作品の音楽を担当、重厚で力強いシンフォニーや、アメリカン・フォーク・ミュージック風の素朴で抒情的なメロディーから、前衛的なジャズ・スコアまで、多種多様でありながら独自の一本筋の通った音楽世界を生み出した、アメリカ映画音楽の巨匠であろう。
1922年4月4日ニューヨーク生まれ。子供のころは演技やダンスに関心を持ち、絵も得意で賞をいくつか獲るほどであったらしい。
12歳で音楽の道へ進み、ピアノをジュリアード音楽院教師のヘンリエッタ・ミチェルソン女史から学ぶが、彼女はピアニストとしてエルマーのキャリアを支えた賢女であった。女史は彼を、「アメリカ的」音楽研究のパイオニアでのちに出世作「エル・サロン・メヒコ」を発表する作曲家アーロン・コープランドに紹介、エルマーの即興演奏に感銘を受けたコープランドは作曲家イスラエル・シトコウィッツを教師に選択したのである。
彼の恩師ともいえるシトコウィッツをはじめ、20世紀音楽を代表する作曲家の一人であるロジャー・セッションズやステファン・ウォルペという恵まれた講師陣から作曲法等を学んだ彼は、1939年頃からピアニスト及び指揮者として音楽活動をスタートし、第2次大戦中には、空軍のラジオ番組でアメリカ民俗音楽を編曲して劇音楽に書き上げるという仕事に就く。そして1949年、国連ラジオの2つのショウでの仕事がコロンビア映画の副社長シドニー・バックマンの気に入られたのがきっかけで、1950年、彼に映画「Saturday's Hero」への音楽の初仕事が舞い込む事になる。
1952年のジョーン・クロフォード主演作「突然の恐怖」でのジャジーなスコアが初めて注目を集めるが、世界的な名声を得るのは超大作「十戒」であり、本格的なジャズ・スコアを取り入れた「黄金の腕」である。
以降50年代後期から2000年代にかけて、「荒野の七人」、「アラバマ物語」、「大脱走」、「ハワイ」、「モダン・ミリー」(アカデミー賞受賞)、「ゴーストバスターズ」、「エイジ・オブ・イノセンス」等さまざまなジャンルの作品を担当、名声を確立してゆく。
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1966 HAWAII ハワイ
France EP United Artists 36 104 UAE
ジェームス・A・ミッチェナー原作の大河小説の前半部分47年間を映画化。1820年、神学校卒業後に新妻とともに未開の地であったハワイへ渡り、島に伝わる因習や疫病、白人資本の進出などと闘いながら伝道活動を続けた宣教師夫妻の物語。 「マリアンの友だち」(1964年)に続くバーンスタインとジョージ・ロイ・ヒル監督とのコンビ作。(ちなみに次のコンビ作「モダン・ミリー」ではアカデミーオリジナル作曲賞を受賞している。)
管弦楽とパーカッションが織りなすスケールの大きなオーケストレーション、ストリングスやフルート、ヴァイオリンが奏でる情感豊かな旋律、重厚で奥が深いバーンスタインの音楽世界に浸ることができる大作。
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1965 THE HALLELUJAH TRAIL ビッグ・トレイル
Great Britain LP United Artists SULP 1106
「荒野の七人」、「By Love Possessed」、「A Girl Named Tamiko」、「大脱走」に続くジョン・スタージェス監督とバーンスタインのコンビ作。
1867年、デンヴァーの酒のストックが底をつき話し合いの末、酒輸送隊を編成しジュールスバーグから40台の馬車で運ぶことになる。しかし、これに禁酒同盟の婦人会や酒輸送を警護する騎兵隊、酒を狙うスー族の一隊などが相次いで出動し、珍妙かつ陽気な戦闘が展開されるアクション・コメディ・ウェスタン。 作詞家アーニー・シェルドンと合唱ディレクター、ジャック・ハローランの協力で、バーンスタインは酒輸送隊の誇り高き精神を謳い上げたメイン・テーマをはじめ、酒飲み有志によるデンヴァー義勇軍、輸送隊を守る騎兵隊、広大な平原、飲んべえのオラクル氏、そして禁酒同盟婦人会のサブ・テーマを作曲、各グループが入り乱れながら繰り広げる西部開拓史上最も陽気で複雑で珍妙かつスケールの大きい戦闘?を遊び心豊かに演出している。特に「Which Way Did They Go」は傑作。
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1963 THE CARPETBAGGERS 大いなる野望
Australia LP MGM 02-984
大富豪ハワード・ヒューズがモデルと言われている、主人公ジョナス・コードが会社社長から会社の発展とともに他の事業へ進出、トーキー時代を迎えていた映画界へも乗り込み映画会社乗っ取りを画策する、その無謀とも言える生き様を映画界の内幕とともに描いた人間ドラマ。ちなみに原題の意味は「カーペットバッグ(旅行カバン)を持ち歩く旅行者」だが、別に「南北戦争後に南部に来て詐欺やインチキ商売をやった北部人」や「インチキ銀行家」という意味もあり、映画界乗っ取りを図った主人公の行動を暗にほのめかしているようだ。
管楽器の力強い響きと快調なリズムのメイン・テーマ、都会的で明るい愛のテーマ、そして主人公の心の暗部を投影するように不安をかきたてるモチーフなど、バーンスタインはジョナス・コードをめぐるドラマを音楽で的確に表現している。
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1963 THE GREAT ESCAPE 大脱走
Japan LP Nippon Columbia PS-1004
1944年3月にベルリン南東のザーガンにあった連合軍の航空兵捕虜収容所から捕虜が集団脱走した史実をもとに、ジョン・スタージェス監督が映画化した脱走映画の傑作。 監督との前コンビ作「荒野の七人」(1960年)の西部劇スコアがまるで「8人目」のキャラクター(ジェームス・コバーン曰く)のごとく映画の成功に貢献したため、スタージェスはかなりの期待を込めてバーンスタインに本作の音楽を任せたようである。そして彼はそれに見事に応えた。
彼はスタージェスについて述べている。「事前に台本は読ませてくれなかったが、撮影開始前から会いに来てくれたよ。座り込んで映画のストーリーを話してくれるんだ。しかも話し方がうまくてね、いい音楽アイデアはそのおかげだよ。」
映画全体のイメージをこれ以上はないほど最適に表現した「Main Title」マーチの軽快で親しみやすい旋律は、「荒野の七人」や「アラバマ物語」と並んで彼の代表作であり、戦争映画のテーマとしては№1であろう。
また、マーチの旋律を軸にした重厚かつ力強いオーケストレーションも素晴らしいが、「Blythe」や「Hendley's Risk」での牧歌的なメロディーも中々聴かせてくれる。
30年後に彼は振り返ってこう述べている。「この映画のスコアはアクションのためだけじゃないんだ。込められているテーマは不屈の魂だね。力では抑えられない気魄。そう、スティーヴ・マックィーン演じるキャラクターがこのスコアの本質を体現しているんだ。」
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1962 TO KILL A MOCKINGBIRD アラバマ物語
1932年、不況のアメリカ、アラバマ州の田舎町で暮らす男やもめの弁護士と2人の子供の一家が軸になって展開する物語。小さな町で起こる事件を子供の視点を通して見つめた社会派ドラマの傑作。 フルートが奏でる懐かしさと優しさに溢れたメインテーマは、随所で繰り返し使われ、映画の雰囲気を見事に作り上げている以上に、映画を超越するほどの魔力を秘めている。また未知の「大人」の世界を垣間見る子供の心理が、ピアノ・ソロやストリングスで絶妙に表現されており、映画に使われた音楽の量は控えめながらきわめて完成度の高いスコアに仕上がっている。

U.S.A. LP Ava AS-20

Germany LP MGM 009015
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1961 WALK ON THE WILD SIDE 荒野を歩け
U.S.A. LP Choreo AS-4-ST
1931年のテキサス、恋人を追ってニューオーリンズへ向う一人の若者と、彼と知り合う女性たち(放浪者、コーヒーショップ女主人、娼婦、娼館経営者)との触れ合いを描いた悲しい人間ドラマ。 ソール・バスのデザインによるタイトル・バック、猫の動きに合わせてバーンスタインのジャジーで軽快なオーケストラ・スコアが躍る。彼はジャズ・サウンドを素朴で抒情的なオーケストレーションに巧みに取り入れる事で、30年代アメリカ南部が舞台のドラマに奥行きを深めた。「Somewhere in the Used To Be」や「Night Theme」などで聴かれる愛のテーマも美しいが、ひなびたメキシカン・タッチの「Terasina」も印象に残る。
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1958 THE BUCCANEER 大海賊
U.S.A. LP Columbia CS 8096
1938年のセシル・B・デミル監督作「海賊」を、彼の体調不良のため長年の友である俳優ヘンリー・ウィルコクスンがプロデュースし娘婿の俳優アンソニー・クインが監督した再映画化作品。1812年、イギリス、アメリカ両軍が攻防を繰り広げるニューオーリンズ港の戦いを、海賊ジャン・ラフィットの活躍を軸に描いた海洋スペクタクル映画。 重厚かつ奥行きが深い管弦楽をフルに響かせた力強いオーケストラ・スコアは、バーンスタインの独壇場である。「Lovers United」での愛のテーマも美しい。
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1956 THE TEN COMMANDMENTS 十戒
セシル・B・デミル監督が1923年に映画化したサイレント作品「十誡」を自ら1350万ドルを投じてヴィスタヴィジョンの大画面に再映画化。 音楽担当予定であった名匠ヴィクター・ヤングの突然の急逝で、デミル監督に白羽の矢を立てられたバーンスタインは超大作にふさわしい重厚で力強いスコアを全編にわたって作曲、巨匠デミルの期待に見事に応えた。 救世主モーゼ、エジプトの王子ラメセス、王女ネフレティリ、ドラマの軸を成す3人のテーマを中心に展開されるスケールの大きなオーケストレーションは特に後半、有名な紅海のシーンやシナイ山麓で民衆が偶像を祀り上げて乱飲乱舞の限りを尽くすシーンでその威力を発揮している。

U.S.A. 2LP Dot DLP-3054D

Great Britain LP United Artists SULP 1144
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